のりのりにっき

ただの雑談です

ベンチャー企業の思い出

4月になりました。気がつけば桜の季節。
私がいる会社でも今年の大学新卒の新入社員が入ってきました。
新入社員のみなさん、入学式を迎えたみなさん、おめでとうございます!
これから始まる新しい生活。楽しくいきましょう!(^^)

そういえば、この私もちょうど10年前の4月のこの時期に東京に出てきてある会社に入社しました。
大掛かりな入社式は全然なし。会社の小さなオフィスでピザやジュースを飲んでいたという記憶しかない。
この会社は社員が10人もいない。設立したのが2004年。
つまり、設立してから半年くらいの新しいかつ小さなベンチャー企業でした。
あれからもう10年経ったのかという感慨と、
10年後はどうなっているのだろうかという期待と不安もあったりもします。

今日のテーマはIT系のベンチャー企業についてです。
この10年、IT系のベンチャー企業で仕事をしてきました。
私が見てきた範囲ですが、ITベンチャーのタイプと特徴を雑談を交えてまとめてみたいと思います。

1. SI下請け企業

正直このタイプはベンチャーというカテゴリに入れてはいけないかもしれませんが、独断と偏見で入れてしまいました。
SIとはシステムインテグレーターの略。メーカー系、ユーザー系、独立系といろいろありますが、
細かい解説をすると長くなってしまうので、簡単なイメージとしては、銀行、官公庁、大工場、大手企業の社内システムなどなど、お堅いところのシステムを扱っている会社と思っていただいて大丈夫かと思います。
そして、このSI企業に勤めているエンジニアのことをSIer(えすあいあー)と呼んでいます。

私が10年前に入社した新しい会社はSI下請け会社でした。「設立したばかり」「マイグレーション事業」「LAMP(LinuxApacheMySQLPHP)開発」「新しいことやりませんか?」のキーワードに惹かれて入社したのですが、実態はSI下請け企業でした。

少人数のベンチャー会社でしたがスーツ必須。私服で来たら、「スーツで来なさい」と注意されるとか。
私は私で「あ、今日はここの面談があるから行ってきて〜」と社長に言われて、待ち合わせの駅に行って担当者とあいさつしてついていったら、違う人が出てきて「ではよろしくお願いします」と最初にお会いした担当者が帰っていって、次の担当者についていくととあるオフィスに到着。オフィスに到着すると一緒についてきた担当者が「ではよろしくお願いします」と帰っていってしまい、全然違う人とオフィスで面談。そして決まった仕事がオフィスとは全然違う場所なんてこともありました。(^^;;

この会社はSI3次請け企業でした。社長はSI系の大手企業で部長をしていた人で、勤めていた大手企業からのれん分けのような形で創業。会社に行くのは月1回の帰社日のみ。あとは客先常駐で違う会社でお仕事です。最初に配属された会社は小さな会社で分煙なし。一緒に来ていた当時のメンバーは全員喫煙者。たばこ吸いながらパソコンでお仕事。大のたばこ嫌いの私には環境的にしんどいところでした。そして肝心のLAMP案件は全くなし。OSがWindows2000サーバー案件ばかりで嫌気がさしてしまったのと、SI企業の多重下請け構造に気がついて「これはまずい!」と感じて1年で退職したのでした。

さて、このベンチャーもどきのSI3次請け会社。今も残っていますが、10年前と変わらず従業員10〜20人程度。人が入れ替わっているだけで人数は増えていない。10年前にいた社員はみんな辞めているようで社員紹介ページがごっそりなくなっていました。

この会社で上司の言われた通りに黙々と仕事していたら、何も変わらないまま10年を過ごしていたことになっていたかもしれません。今振り返ると「おそろしーいっ!」です!!!(@@)

2. 下請け開発会社

次は下請け開発会社です。7年くらい前はこの下請け開発会社に勤務していました。SI下請け企業の後は、エンジニア派遣でWeb系のベンチャー企業を渡り歩いてLAMP系の仕事をやっていましたが、あちこちの企業を渡り歩く生活はやめてそろそろ落ち着いて仕事がしたいと思い、7年くらい前に自社開発をしているWeb系の会社に入社。社員は20人くらいと小さめでしたが、きれいでおしゃれなオフィスと家からほど近いところだったのもあり、入社しました。しかし、自社開発だったものの私が入社した頃は自社で出しているメインのサービスが崩壊してしまったらしく、きれいなオフィスを手放して古いビルのオフィスに移転、受託案件ばかりになってしまいました。。。

1次請けの受託案件が中心でしたが、2次請け案件もありました。2次請け案件になると間に一つ上の会社の担当者がクライアントに直接提案したりするわけですが、この担当者がしっかりしていないとイライラすることも。全く新しいサービスに参入をするものの、収益に結びつかず、業績悪化が続いてどんどん人が辞めていき、社員は10人以下に。私もしばらく残ったものの、業績悪化に歯止めがかからず、ほぼ全員会社を辞めて最後は社長1人となり、最終的に会社そのものがなくなってしまいました。。。(;;)

私がいた会社は残念ながらなくなっていましましたが、下請けの受託開発でしぶとく生き残っている会社もたくさんあります。いろいろな案件が来るのでいろいろなタイプの案件をこなすうちにスキルレベルが上がると思います。ジャンルにこだわらず、様々なタイプの開発案件にチャレンジしたい人にいいかもしれません。

3. 本物のベンチャー会社

次に入社したのが、本物のベンチャー会社。私服で夕方に面接に行って雑談して帰ってきたらメールで内定通知が届き唖然呆然。(@@)社員は10人いるかいないか。人数は少なかったのですが、自社でサービスを作って大ヒットを出していました。当時としては全く新しいジャンル。女性社員がいないのは1の時と同じ状況でしたが、あまりにも早く内定通知が来てしまったのでこれはダマされているのではないかと悩みに悩むことに。。。

しかし、少ない人数で大ヒットコンテンツを出している点と、全く新しい分野に挑戦するのもいいかと思い切って入社。入社してすぐにナゾの書類を渡されて「儲かるかどうか分からないけどとりあえず住所と名前書いてハンコ押しといて〜」「はーい」と受け取った書類はなんとストックオプションの書類でした。言われたとおりに名前をハンコを押して書類を提出。入社していきなりストックオプションが付与されたのでした。確かに儲かるかどうかはわからないけど、ストックオプションが出されたことで、かなりまともなベンチャー会社だと思ったものでした。

そして、仕事が始まったわけですが、周りのメンバーのレベルが高い。私もそれなりに経験は積んできたが、野球で例えると、高校の野球部でのんびりと野球をしていた人がとある野球クラブに入ったら大リーガーばかりそろっていてビビっている状況を想像すると分かりやすいと思う。入社してわかったことが、創業メンバーの方は過去にベンチャー企業を立ち上げて成功して大手企業に吸収合併されたというとんでもない経歴の人たちでした。

メンバーが全員Macユーザー。コマンドベースで開発していて、エディタは全員Unixテキストエディタvim(ゔぃむ)。EclipseなどのGUIベースの開発統合環境を使っている人が誰もいない。秀丸TeraPad?なにそれ?な状態。今までvimを使うのはLinuxサーバーの設定関連くらいで、他は開発統合環境を使ってきただけにvimしか使っていない状況に衝撃を受けたものです。「なぜEclipseを使わないんですか?」とあるメンバーに理由を尋ねると「Eclipseを立ち上げている間に関数が1個書ける」。同じUnix系のテキストエディタEmacs(いーまっくす)というエディタもあるので、「Emacsは使わないのですか?」と創業メンバーの方に質問したら、「 Emacsも使ってみたけど(動作が)重くてやめた」という返答が。いろいろやった結果、vimで開発したほうが速いということらしい。Macのターミナルとvimで開発するスタイルになってしまったのは彼らの影響です。それまでは家でMacを使っていたとはいえ、そこまで使い込んでいなかった私には頭を叩き割られるくらいの衝撃でした。vimの修行が足りないと怒られながらもMacのターミナルとvimを使った開発にチャレンジ。慣れるまでが大変でしたが、慣れるとめちゃくちゃ仕事が速くなることを実感したのでした。

また、エンジニア以外の方と一緒に仕事する機会もありましたが、経営企画の方は要点をきちんとまとめて、短い時間で話をしながら資料をさっさと作ってしまったり、営業の方も1人でたくさんの案件をまとめてきてしまったりと、今まで見たことのないくらい仕事レベルの高い人たちでした。(@@)

入社前はそれほど残業がないですと言われていましたが、残業は多かったです。終電逃して深夜バスで帰宅することもしばしば。
在籍中に体調が悪くなって休職する人も多かったです。
この10人いるかいないかの会社は、あれよあれよと業績が伸びて、社員が増えていき、なんと上場してしまったのでした。(@@)

めちゃくちゃ仕事ができる人ばかりの中での凡人スキルで、いろいろ足を引っ張ってしまったこともありましたが、学ぶことは本当に多かったです。このタイプの会社に入社して本当によかったです。今でも創業者の方と一緒に働いていたみなさんは頭が下がる思いで本当に感謝しています。m(_ _)m

4. 社内ベンチャー(大手企業の子会社)

3の会社の成長が落ち着いてやりたいこともなくなってきたので別の会社に転職することに。今度は大手企業の子会社です。大手企業の中には社内ベンチャー制度を設けているところもあります。社内でビジネスプランを募ってビジネスプランが採用されると社内制度を利用して起業してしまうパターンです。すでに上場している会社が出資している場合はストックオプションがもらえる確率はないかもしれませんが、大手企業のルールの中で仕事をするので、全くのゼロから起業するよりも制度的に仕事がしやすい環境ができていると思います。社内ベンチャーとはいえ、いいサービスを提供するために熱心に働いているところは3となんら変わりはありません。

5. 学生ベンチャー

私は直接関わったことがないですが、このパターンも追加します。大学在学中に新しいサービスを考えて大学の施設を利用して起業するパターンです。私は地方の三流大学に進学してしまったため、残念ながら学生ベンチャーに接する機会が全くありませんでした。高校時代にもっと勉強すればよかったかなーと思うところです。ある程度名の通った大学に入学すると学生同士でビジネスを立ち上げるチャンスがあるかもしれません。学生ベンチャーが成功してもしなくても一緒に仕事していたメンバーは卒業後も他のベンチャーを立ち上げて大活躍していたり、大学時代当時のメンバーとも強い結びつきが続く傾向があるようです。大学で起業する機会があればチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

まとめ

ということで、私が思いつく限りですが、IT系のベンチャー会社について書いてみました。ベンチャーの仕事は働いている社員を大きく成長させる可能性を秘めています。1は個人的にはオススメはできませんがSI系でずっとやっていきたい人は小さなSI会社から上流の大手のSI会社に行くのもありだと思います。2もそれなりに経験は積めると思いますが、将来起業したい人は3〜5タイプのベンチャー企業に勤務するのも1つの選択です。仕事内容はかなりきついかもしれませんが、もし興味があればチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

おしまーい。